長引く痛みや不調と「報酬」の関係⑤

はしもと治療院の江﨑です😊
今回は、前回お話しした「嫌な状況の回避」が「報酬」となりドーパミンを分泌を増加するという事が、「長引く痛みや不調」とどう関わるのかをお伝えします。
注意として、今からお話しするのは「どんな痛みや不調も」という訳ではありません。
あくまで「そういうケースもある」という事です。
嫌な状況の回避とは、前回お伝えした「部署が変わって嫌な上司と離れられた」のような、それ自体は喜びや快楽といった直接「自分の報酬」になる訳ではないが、結果的に安心感や解放感につながるような状況を指します。
報酬とは「生存や生殖において重要な要素」なので、そういった「強いストレス環境下から逃れられた」事は立派な生存・生殖の為の報酬となります。
さて、つまり何が言いたいかというと・・・
「長引く痛みや不調」は時に「報酬」となり得る
という事です。
長引く痛みや不調は当然辛いですし、もちろん本人が望んでいることではありません。
それは大前提ですが、脳は、痛みや不調を「結果的に」報酬と捉えることが、ヒトの場合はあるのです。
痛みや不調でもって「嫌な状況の回避」につながることって少なからずありますよね?
例えば、「ぎっくり腰だから今日は仕事に行けない」のように。
人間を含む動物は、本来ストレス環境下であれば脳は「その環境から離れなさい」という指令を、交感神経系を緊張させることで発令します。
つまり闘争逃走反応です。
サバンナで生きる動物が、天敵と遭遇したら命の危険大ですよね?
早く逃げないと食べられてしまう。
なのですぐさま逃げれるよう交感神経を緊張させて、血管や筋肉を収縮させ「一刻も早く動ける準備」をします。
結果的に逃げ切れたら、ストレス環境から離れられた=報酬となります。
さて、人間社会はどうでしょうか?
サバンナの動物のように、天敵(ストレス)から「すぐさま逃げられる」でしょうか?
なかなか上手くいかないことが多くないですか?
・嫌な上司がいる職場を辞めたいけれど、転職も厳しい年齢だし辞めたら生活が苦しくなる
・仕事に家事に毎日が忙しい中で、親の介護もすることになってしまった
例えばこういう状況で、その場から離れるという選択を簡単にできるか?というと、厳しいですよね。
しかし脳は「離れなさい」という指令を相変わらず出し続けます。
この脳からの指令を無視していると(無視せざるを得ないのですが・・)、脳は「ねえ!早くストレスから離れる行動をしてよ!」という具合に交感神経系をさらに緊張させ、指令を強化させます。
この時に起こる「早く離れなさい!の表現」として、「痛みや不調」が起こる事も全然あるわけです。
先ほど言いましたが、仮にこの時に「ぎっくり腰で仕事(ストレス)を休んだ」という経験をすると、脳は「やっとストレスから離れることができた」という捉え方をします。
つまり、「ぎっくり腰」でストレス回避という目的が達成できた=「報酬」と捉えるのです。
痛みや不調は当然嫌で不快なことです。
しかし、天敵(ストレス環境下)を回避できない方がよっぽど嫌であり、痛みや不調だろうがその状況を回避できるのであれば選択することもあるわけです。
(結局その痛みや不調でストレスは増大するのですけどね・・・)
先ほども言ったように、痛みや不調を抱える人全員がそうというわけではありません。
しかし、引く痛みや不調には事実こういう側面もあるのです。
これはまさに「人間ならでは」なのです。
次回は、さらにこの辺りを深掘り、「うつ症状」の話をしていきます。
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