2種類の副交感神経②

はしもと治療院の江﨑です。
前回に引き続き「2種類の副交感神経」についてお話ししていきます。
前回は「背側迷走神経複合体」でした。
交感神経優位が長期化すると次第に疲弊し、充電切れになった状態でこの背側迷走神経が優位になります。
こうなると、朝起きられなくなったり、身体を動かすのがしんどくなったりします。
今回取り上げるのは「腹側迷走神経複合体」です。
腹側迷走神経はつまるところ「安心安全」や「絆」や「愛」を感じることで機能する副交感神経です。
人間など動物全般は(というか脳は)、常に今身を置いている環境が「安全かどうか?」を軸に様々なことを判断していきます。
当然「危険だ」と言う判断をすれば、その危険から反れるような、環境を変えるような指令をくだします。
例えば「逃げる=闘争逃走反応」のように。
ライオンが目の前に現れ命の危険を感じた動物は一目散に逃げます。でないと食べられてしまうので。
逃げ切れば命が助かります。
このように環境を変えることができれば、脳は「もう安心な環境です」と判断します。
さて、このように簡単に環境を変えることができればひとまず良いのですが、こと人間に関して言うと中々難易度が上がります。
例えば人間関係で苦しんでいる状況で(脳はその環境を安心安全ではない=危険と判断)、簡単に仕事を辞めたり、その人との縁を切れるかというと、難しいですよね。
脳は「環境を変えなさい」と言っているのにその指令を遂行できないという状態が続くと、交感神経過緊張モードが続き心身に不調をきたしたり、先ほどの背側迷走神経複合体へ移行すると最悪うつ症状につながったりします。
なので、安心安全や絆・愛を感じられる環境があるかどうかというのは自律神経、専門的には腹側迷走神経にとってとても大事であり、これらの土台があることで多少危険だと感じる場面があっても(=ストレス)乗り越えることができます。
ではそれら安心安全や絆・愛ってどうしたら得られるかとなると、もちろん「人間関係」でもそうですしいわゆる推し活だったり、ペットなどで感じたりしますよね。
さらには「体が楽になる」という感覚でも安心安全を感じます。
細かいことを言うと、「目の動きの改善」や「呼吸の仕方」「背骨の可動性」といった部分が変わるだけでも「安心安全」を感じることができるのです。
「心身一如(心身一元論)」という言葉があります。
体と心は不可分であり一つのもであるという考えです。
心がしんどいと体にも不調が起こり、体がしんどいと当然心も疲弊します。
裏を返せば、心が満たされると体も元気になり、体が元気だと心も満たされるということです。
体の面から安心安全を感じることができることできれば、仮に「危険だ」という環境が変わらなくても心に余裕が生まれやすくなります。
当然それでは追いつけないほど環境による負荷が大きいとそうもいきませんが、体から介入することで腹側迷走神経が機能し、体や心の不調が緩和する事は往々にしてあるわけです。
そしてその役割こそ、我々の立場ができる事なのです。
長々と話しましたが、腹側迷走神経は「健康」にとってとても大切だという事です。
身近にある何かしら安心安全を感じられるものを大切にしたいですね。